エフテック 教育教材ロボット

ロボットを動かそう

DCモータを廻す

 P-ROBOトレースロボットには、DCモータを採用しています。

 DCモータは、磁界の中で導線に電流を流すと力が作用する性質を利用したモータです。動作原理を図1~5に示します。

 DCモータは、永久磁石や電磁石をモータの外側に固定し、その間に軸を中心に回転するコイルを設置しています。


図1 DCモータの原理

 磁石の間には、磁束密度Bの磁界が発生しています。


図2 磁界

 ここで、コイルに図3の矢印の方向に電流iを流します。コイルの1辺の長さはLとします。


図3 コイルに流れる電流

 電流iが流れると導線に力Fが作用します。この力の作用は、フレミングの左手の法則と呼ばれています。Fの大きさは F=iBL です。


図4 力の発生

 この力Fにより、モータは回転軸を中心にして廻ります。ただし、このままではコイルが垂直になった位置で回転が止まってしまうので、垂直の位置になったら電流の方向を逆にして常に同じ方向に廻るようにしています。電流の切替えをするのがブラシと整流子で、モータの軸部分に取付けられています。


図5 モータ回転


図6 ブラシ(固定部分)と整流子(回転部分)

 DCモータは、モータ端子に電圧を印加するだけで回ります。回転方向は、モータ端子の+-極性を逆に接続すると逆転します。また、モータの端子をショートさせると、ブレーキ力が発生し、回転を止めることができます。


図6 DCモータ

 DCモータを駆動するときは、一般的には4個のスイッチを利用してモータ印加電圧の極性を変更しています。

正回転
(a) 正回転(S1-S4ON)

逆回転
(b) 逆転(S2-S3ON)

ブレーキ
(c) ブレーキ(S2-S4ON)

図7 HブリッジによるDCモータ駆動

 P-ROBOでは、FETによる半導体スイッチでHブリッジを構成しています。

半導体Hブリッジ
図8 Hブリッジ回路例

 DCモータ回転速度は、モータに印加する電圧を高くすると速く、低くすると遅く廻ります。P-ROBOでは、モータ電圧をアナログ的に変化するのではなく、ON-OFFを繰り返すスイッチング制御を採用しています。 モータに加わる平均電圧を調整して、速度制御しているのです。

 モータ回転速度は、スイッチング方式でON時間の割合が大きいと、モータの平均印加電圧が高くなるので、速くなります。逆に、ON時間の割合が小さいときは、平均電圧が低くなるので、モータ回転速度が遅くなります。

PWM波形
図9 PWM波形(赤い線が平均電圧)

 ON-OFFのスイッチングは数百Hz~数十kHzで行います。極めて短い時間のON-OFFですから、OFFの間もモータは惰性で廻り続けます。ですから、モータ回転がガタつくようなことはなく、滑らかに回転します。

 電圧をアナログ的に変化させると、電源との電位差を熱にしてエネルギー放出するためエネルギー効率がよくありません。スイッチング方式では熱としてエネルギー放出される量が少ないので、エネルギー効率のよい方式です。モータドライバはFETにより構成していますので、トランジスタ方式に比べより効率的なモータ駆動が可能です。


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2001.10


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